特定技能14業種|対象となる業務や概要を徹底解説

特定技能

規模事業者のなかには、「どのような分野が対象になるのかわからない」とお悩みの方もおられるでしょう。

そもそも特定技能は「1号」と「2号」に別れており、うち特定技能1号はサービス業や製造業など14業種、特定技能2号は2業種あります。

本記事では、特定技能として雇用できる業種と概要について紹介します。
(2022年9月時点の情報となります。今後、国政や閣議によって変更される可能性もあります。)

特定技能1号に該当する12分野14業種

特定技能1号は、相当程度の知識や経験を要する職業につくための能力を要する在留資格です。もともと人手不足解消を目的に施行されたため、即戦力となることが重視されます。

また、業務に関する専門性だけでなく、一定以上の日本語レベルも求められます。特定技能1号は1年、6ヶ月もしくは4ヶ月ごとの更新で、通算5年まで在留できるようになっています。なお、家族の帯同は基本的に認められません。

以下に、特定技能1号に該当する12分野14業種を表にまとめました。

介護身体介護および付随する支援業務(訪問サービスは対象外)
ビルクリーニング建築物内部の清掃
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造(製造3分野)機械金属加工・電気電子機器組立・金属表面処理
建設土木・建築・ライフライン設備
造船・舶用工業溶接・塗装・鉄工・機械加工など
自動車整備自動車の点検整備・特定整備
航空空港グランドハンドリング・航空機整備
宿泊宿泊施設でのフロント業務、企画広報、接客などサービスの提供
農業耕種農業・畜産農業
漁業漁具の製作、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕・養殖業
飲食料品製造業飲食料品の製造・加工、安全衛生
外食業飲食物調理、接客、店舗管理

(参考:特定技能 ガイドブック

それぞれの分野と業種について、詳しく解説していきます。

介護

少子高齢化の日本において、深刻な人手不足の解消にもっとも期待されているとも言える分野が「介護」です。介護の特定技能は厚生労働省が管轄しており、受け入れ見込み数は50,900人。

介護の特定技能1号の在留資格は「介護技能評価試験」のほかに、「国際交流基金日本語 基礎テスト」もしくは「日本語能力試験」にて判定されます。

ビルクリーニング

建物の内部清掃がメインとなるビルクリーニングでは、床や天井、壁、トイレなどに加えて資機材倉庫の整備作業や建物外部の洗浄作業などの関連する業務の従事も認められています。

ただし、住宅内部のクリーニングを目的とすることは不可で、関連作業の割合が清掃作業を超えることもできません。また、高齢者の雇用が推進されている分野でもあります。

素形材

素形材は2022年に6万2000人が不足すると予想されてきた業種で、IT化や対象労働者の拡大などの対応をとっているものの、依然として人材不足が課題となっています。

おもに機械や金属関係の素材の加工がメインとなり、受け入れ可能年齢は18歳以上。技能取得には、「特定技能評価試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格するか、技能実習2号を修了するかのどちらかが必要です。

産業機械製造

産業機械製造は、「機械刃物製造」「ボルト・ナット・リベット等の製造」「生産用機械器具製造」「業務用機械器具製造」などに該当する事業所が対象となる分野です。

このなかでも技能実習生が従事できる業務は「鋳造」「ダイカスト」「金属プレス加工」などに限られています。現在、受け入れ見込み数を超えていることにより一時停止措置が取られています。

電気電子情報関連製造

電気電子情報関連製造も、日本の主力産業に深く関わりを持つ産業で、おもに電子部品の製造をおこないます。業務は「機械加工」や「金属プレス加工」「電子機器組み立て」「仕上げ」など13種類あり、受け入れ見込み数は4,700人となっています。

(参考:電気・電子情報関連産業分野

なお、上記2つ(素形材・産業機械製造)の分野とあわせて「製造3分野」と呼ばれています。

建設

高度な専門技術を要する建設業もまた、深刻な人手不足に悩まされている業種です。人手不足の背景には熟練就業者の高齢化や若者の労働力不足などがあり、ほぼすべての国から受け入れできる特定技能1号に期待が寄せられています。

建設業は国土交通省が管轄となり、5年間の最大受け入れ数は34,000人。左官やコンクリート圧送、トンネル推進工、表装 ・とび、建築大工などの業務に従事できます。

造船・舶用工業

船を作るための工程における特定技能です。「溶接 ・塗装 ・鉄工 ・仕上げ ・機械加工 ・電気機器組立て」に従事できますが、溶接で働くことが多いようです。また、ハードルはかなり高めですが、特定技能2号への移行も可能です。

所定の技能試験と、日本語能力試験の合格が必須条件となっています。

自動車整備

自動車の点検整備や分解整備などをおこなう業種です。日本人の自動車整備士の平均年齢が高齢化していることや、若年層の車離れを受け、外国人の力を借りて人手不足を補いたいと考えられています。

点検や分解などを1人でおこなえる技能レベルの人材で、「自動車整備分野特定技能評価試験」や「自動車整備士技能検定試験」の3級に合格することで在留資格が取得できます。なお、自動車の組み立ては「製造業」となるため、こちらではおこないません。

航空

航空の特定技能は、航空機の誘導や貨物の積み下ろし、客室清掃をおこなう「空港グランドハンドリング」と、メンテナンスをおこなう「航空機整備」の2区分にわかれます。

資格取得のための試験をフィリピンやモンゴルで実施しているものの、訓練や養成が容易に進まないため、受け入れ人数は2桁と、他の分野よりも少ない傾向にあります。

宿泊

宿泊の分野では、フロントや企画・広報、接客サービスなどの業務に従事できます。また、就労ビザでは従事できない「清掃」や「ベッドメイキング」などの関連業務も対象となります。

宿泊分野は「日本語能力試験」に加えて、一般社団法人 宿泊業技能試験センターが実施する「宿泊業技能測定試験」への合格が条件となりますが、2023年より技能実習2号から移行できる予定となっています。

農業

農家の高齢化や若年層の都市部への集中により、慢性的な人材不足となっている農業。近年では外国人労働者の数は増加傾向にあり、特定技能での受け入れ上限も36,500人と多く見積もられています。

「耕種農業」と「畜産農業」2つに分けられ、耕種農業では栽培管理、農産物の集出荷など、畜産農業では飼養管理、畜産物の集出荷などがおもな業務です。
農作業が落ち着く時期は一時帰国し、繁忙期に来日するなど、半年ごとの就業であれば最大10年に渡っての雇用が可能となります。

漁業

漁業は、農業と同じく近年外国人労働者の雇用が進んでいる業種です。5年間の受け入れ見込み数は6,300人。漁具の製作・補修、水産動植物の探索・捕獲などの「漁業」と、養殖資材の製作・補修・管理、養殖動植物の育成をおこなう「養殖業」の2つに分かれています。

また、1年を通して繁忙期と閑散期が顕著なことや作業のピーク時が異なることから、漁業と農業に限り、一定条件を満たせば派遣として雇うことも可能です。

飲食料品製造業

飲食料品製造業は、食品の加工や酒類を除く飲料飲料水の製造や安全衛生をおこなう業種です。IT化が進む業界ではありますが、人間の手や目を使った作業も多くあり、人員補充が求められています。

技能実習生から移行する人も多く、受け入れ人数は87,200人に定められ、14業種のなかで最多となっています。

外食業

レストランや食堂、喫茶店、ファストフード店、テイクアウト専門店などを対象とした外食業における特定技能業種です。調理から接客、店舗管理までの業務に従事でき、デリバリーも対象となっています。(デリバリーのみは不可)

「外食業特定技能1号技能測定試験」と「日本語能力試験」への合格が申請条件で、接待を伴うキャバレーやクラブでの雇用はできません。

特定技能2号に該当する2業種

特定技能2号は、「特定の分野に関する熟練した技能」が求められる在留資格で、現在「建設」と「造船・舶用工業」の2業種のみとなっています。

最長5年の在留期間が決まっている特定技能1号とは異なり、期間の上限はありません。また、要件を満たせば配偶者や子供など家族の帯同が可能です。

総括

定技能は2019年に始まった新しい制度のため、試験が定期的に実施されない分野があるのも事実です。とはいえ、国内の人手不足の解消に大きな期待が寄せられていることから、対象の業種・就労者ともに今後も増えていくと予想されます。

特定技能実習生は人材育成を目的とした技能実習生とは異なり、即戦力のレベルが基準となるため、多くの中小企業や小規模事業者の助けになるでしょう。企業の戦力不足でお困りの方は、特定技能外国人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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