「技能実習」と「特定技能」の違いとは

技能実習

近年、日本国内の人材不足が問題となり、外国籍の労働者の受け入れ制度である「技能実習」や「特定技能」の制度が、様々な企業間で広まってきています。

しかし、どちらも外国人労働者を受け入れる仕組みであると同時に、名称もよく似ているため、「技能実習と特定技能のどちらを活用すべきか分からない」、「制度が複雑すぎて調べるのが面倒」という疑問や悩みを抱く担当者も多いのではないでしょうか。

実際、制度の範囲外で誤った雇用関係を外国人労働者と結んでしまった結果、法に触れてしまい、罰金を払うこととなってケースも発生しているため、外国人労働者受け入れに尻込みしている企業も少なくは無いと思います。

そこで今回は、そんな悩みを解決できるように、技能実習と特定技能の違いを6つのポイントに分けて簡単にまとめました。
この記事を読めば、この2つの違いが明確になり、どちらを活用すべきか判断しやすくなります。ぜひ参考にしてみてください。

「技能実習」と「特定技能」の違い

制度の目的

・技能実習

技能実習は、発展途上国の人材が、日本の企業や個人事業主のもとでスキルを習得し、母国の経済発展に貢献できる人材を育成するための制度です。日本国内にスキルアップの場を設けることで、発展途上国への国際協力することを目的としています。

・特定技能

技能実習に対し特定技能は、人材の確保がむずかしい産業に、ある程度のスキルを有する外国人を受け入れる制度です。日本国内で深刻化する、人材不足問題の解消を促すための制度です。即戦力として就労可能な外国籍の優秀な人材に、日本の経済発展に協力してもらうことを目的としています。

在留期間

・技能実習

技能実習は、最長で5年間の在留が可能です。技能実習は1~3号と、3種類の在留資格があり、技能評価試験で一定の実績を満たすことで、合計2回の資格移行の機会が設けられています。
1号は1年以内、2号へ移行すると2年以内、3号への移行では2年以内の在留期間の更新が可能です。
それらを通算すると、最長5年の日本国内での滞在ができるようになるという仕組みです。

・特定技能

特別技能は、事実上無期限での在留が可能です。
特定技能には1~2号と、2種類の在留資格があり、1回の資格移行が可能です。
1号の時点で、上限が5年までと設定されていますが、技能評価試験で良い成績を収めることで、在留期間無制限の2号へ移行が可能です。
一定の条件を満たせば、永住権申請も可能となります。
在留期間を設けず、できるだけ長期での雇用関係を結びたいのであれば、特別技能を活用しましょう。

職種と業種

・技能実習

2022年9月現在、技能実習は86職種158作業の業務に当たることが可能です。特定技能に比べて設定が非常に細かく、厳格に制限されています。
しかし、中には特定技能では認めてられない職種が、技能実習では認められる場合もあります。
事前に確認をしておきましょう。

・特定技能

2022年9月現在、特定技能は14職種の業務に当たることが可能です。
技能実習に比べ、幅広く様々な工程に関わることができます。
ただし、技能実習には可能であるにもかかわらず、特定実習では認められない職種もあります。
その反対に、特定実習のみに認められている職種や作業もありますので、あらかじめ注意が必要です。

受け入れ方法と受け入れ可能人数

・技能実習

技能実習は、海外の送り出し機関と提携関係をムズ部生理団体からの紹介を受けて受け入れる、団体監理型を採用しています。
これ以外の受け入れ方法は認められませんので、中が必要です。

また技能実習の場合、受け入れ可能人数には人数制限があります。
技能実習は人材のスキルアップが目的としているため、一人ひとりに教育が行き届くように、あらかじめ受け入れ人数に上限が設定されています。
具体的には、従業員30人以下の企業は3名まで、優良企業の場合は最大6名までとなっています。希望する人数を好きなだけ受け入れられることはできませんので、注意が必要です。

・特定技能

特定技能は、受け入れ方法に特に制限はありません。企業が調節採用することも、紹介会社を通しての採用も可能です。
 受け入れ人数に関しても、制限はありません。
技能実習の場合と違い、特定技能は人手不足の解消を解消し、日本の経済発展に貢献するための制度です。
そのため、受け入れ人数に上限はなく、ある程度自由に雇用することが可能です。

転職の可不可

・技能実習

技能実習は、原則転職は不可能となっています。
そもそも技能実習の場合、あくまで技術の習得が目的のため、転職という概念がありません。
ただし、2号から3号に切り替える場合、一時帰国をした後のみ、実習生の希望で転職が認められます。
また、2022年4月より、新型コロナウイルスの影響を受け、転職をしなければ実習の継続が困難であるという場合、転職が認められるという特例ができました。

しかし、技能実習において、転職は様々な条件を満たし、数々の手続きを踏んだうえでやっと認められます。原則技能実習生の意思による転職はできないと考えておきましょう。

・特定技能

特定技能は、就労資格であるため、職業選択の自由は技能実習に比べ寛容です。そのため、ある一定の条件を満たしていれば、転職は可能です。その条件が、以下の通りです。

1.同一分野または転職先の分野に該当する技能評価試験に合格していること
2.日本語能力検定4級以上を取得

特定技能の場合は、日本での長期労働が期待されているため、ある程度の自由が保障されています。外国籍の労働者にとってはメリットが非常に多いです。

家族滞在の可不可

・技能実習

技能実習生は、家族滞在ができません。外国人労働者にとって、日本国内での家族滞在の可否は、日本での長期滞在に大きく影響する事項です。
技能実習の場合、最長でも在留期間が5年と定められており、母国に帰国することを想定されている制度です。そのため、長期滞在を見据えた家族滞在は想定されていません。

・特定技能

一方特定技能の場合、優秀な人材が少しでも日本の人材不足解消に貢献してもらうため、長期滞在を見据えた制度となっています。
そのため、配偶者と子供のみに限られますが、在留資格を2号に切り替えた際に、家族の国内在留が認められます。
家族在留の権利は、外国人労働者の今後のライフスタイルに重要な項目です。
認められない場合、早期退職を検討する人材も増えるケースもありますので、できるかぎり寛容に寄り添うようにしましょう。

総括

いかがでしたでしょうか。今回は、技能実習と特別技能の違いについて6つのポイントに絞ってご紹介しました。

教育実習と特別技能の大きな違いは、それぞれの制度の目的です。
目的の違いの基本が理解できれば、それぞれの細かいルールなどが明確になり、今後の対応をどうするべきかという判断材料となります。

また、技能実習と特別技能、それぞれ就業可能な職種並びに作業は必ず確認するようにしましょう。
許可されてない業務で働かせた場合、不法就労助長罪に該当し、罰金や懲役が科せられるケースもあります。細かいところにも気を配り、法の範囲内での就労を心がけましょう。

外国人労働者受け入れは、企業の人材不足を解消し、日本の経済発展の重要な鍵となります。
今後、積極的に外国人労働者を受け入れたい企業様や個人事業主様は、ぜひ参考にしてみてください。

タイトルとURLをコピーしました